まさに最先端!見学した豊洲市場を詳細レポート

 

こんにちは、@yukinori_Cityです。

先日、2回目の応募で豊洲市場の見学会に当選したので、ここぞとばかりに行ってきました。
長い間、外から建設状況を記録してきた場所だけあって建物の中に入るのはなかなか感慨深いものが。

豊洲市場の建設記録はこちらから。

さて、様々な問題が複雑に絡み合ってなかなか話が前に進まない豊洲市場ですが、当記事では世間的に偏ったイメージを少しでも払拭できればと思い、現地で得た情報をなるべく詳細にお伝えしたいと思います。
中には暗くてブレている写真もありますが、そこは何卒ご容赦願いたいと思います・・。

なお、これから見学に行かれようとしている方にとっては全てネタバレとなりますので、そっとページを離れていただくことをおすすめします。。

 

 

 

 

 

 

1. 管理施設棟から見学スタート


画像参照:東京都中央卸売市場

豊洲市場は大きく4つの建物から構成されています。

ゆりかもめ市場前駅を降りて、最初の集合場所でもある7街区の管理施設棟にあるPRコーナーへ。
最初に見学の概要や注意事項などのガイダンスを受けた後、2時間で約5kmの距離を歩いていきます。

 


PRコーナーでは豊洲市場にまつわる様々な情報を壁面展示やパネルにしてわかりやすく説明がされています。
市場の広さを面積で比較すると、築地市場の約23.1haに対して、豊洲市場は約40.7haと1.8倍も広いんですね。

 


展示パネルの一部です。

 


この豊洲市場は、築地市場が抱える問題を解消し、将来を見据えた上で首都圏の基幹市場とするべく整備がされています。
そんな豊洲市場には5つのコンセプトが。

1.  食の安心・安全の確保
 塵や埃の流入を防ぐとともに建物内の温度管理を徹底。

2. 効率的な物流の実現
 十分な駐車スペースや荷捌きスペースを確保するとともに建物の周りに外周道路を整備し、円滑な場内物流を実現。

3. 多様なニーズへの対応
 消費者・小売業者の求めるカットや加工、切り身、包装などの納品を可能にできるように加工パッケージの施設を充実。

4. 環境への配慮
 合計12ha分の緑化や、大規模な施設の屋上に一般家庭580世帯分の電力を賄える太陽光発電設備を整備。

5. 賑わいの創出などまちづくりへの貢献
 千客万来施設、豊洲ぐるり公園と一体化した屋上緑化広場の開放。

 


これはPRコーナーの壁に貼られている去年から計測された空気中のベンゼン濃度の推移を表すグラフですが、23区内の平均値よりもやや上回ってはいるものの、環境基準値は下回っていることが確認できます。

なお、過去の報道にもあった地下ピットに溜まった水については、現時点では排水されていると写真付きで説明がありました。

 


PRコーナーを出ると、市場で働く業者向けの飲食店舗が入る通りがあり、こちらは一般の人も利用できるそうですよ。

 


現状はほとんどシャッターが閉まっているように見えますが、中には内部造作まで工事が進んでいる店舗もいくつかありました。

ちなみにこの見学会では写真撮影は全般OKとなっており、事業者名さえ入らなければブログやSNSにアップするのも可となっています。

 


こちらは水産卸売場棟に向かう通路の窓から見えた、地下ピットに溜まった水を強制排水するための仮設タンクです。
地下ピット内ではコンクリや砕石に触れた水は非常に強いアルカリ性となり、ここでは中和処理をした上で下水道に排水してるんですね。
あくまでも浄水ではなく、中和処理をするためのタンクです。

 

 

2. 7街区 水産卸売場棟


画像参照:東京都中央卸売市場

管理施設棟からまずは同じく7街区の水産卸売場棟へ。

 


こちらの水産卸売場棟は、全国の産地から届いた水産物を卸売業者が競りなどの取引により、市場内に店舗を構える仲卸業者に販売するエリアです。

 


水産卸売場棟の案内図です。
黄色で塗られているエリアが開業後の見学者通路です。それ以外を見て回れるのは今だけなので貴重ですね。

水産卸売場棟は5階建ての建物ですが、各階の用途は以下のとおりです。

1階:マグロ、活魚、鮮魚の卸売場。バースに付けたトラックから荷下ろしが行われ、卸売場で競りや解体取引が行われる場所。
2階:見学ギャラリー。
3階:しらすなどの塩干物売場。直接大型トラックを付けて荷下ろしができるようになっている。
4階:転配送センター。産地から豊洲市場に卸すものと近隣の市場に出荷される魚が一緒に運ばれてくる場合があり、こちらで仕分けをし、他の市場に配送する。
5階:事務所。

 


2階には過去に築地市場で取引された最大級のサイズを模したマグロが展示されており、重さは約490kgだそう。
写真ではいまいちサイズ感が伝わりにくいですが、実際デカイです。

 


その他、水産にまつわる様々なパネルが壁面に展示されていました。

ちなみに築地市場にもおさかな普及センター資料館という水産の普及を目的とした独立した建物がありますが、豊洲市場内ではこのような展示パネルがいくつも見学者通路に設けてあります。
このような試みは”市場”という施設をより一層身近なものにさせてくれますね。単に品物を買う以外の目的も生まれるのではないでしょうか。

 


そして、こちらは2階の見学者通路から見下ろす1階のマグロの競り場です。
来場者がいつでも競りの様子を見られるようになっています。こうすることで築地のように見学者が邪魔になる、とういうこともなくなりますね。
売場の温度は10.5度に設定されるようで、ここでは二重ガラスが採用されています。

ちなみに床の色が緑色になっているのは理由がありました。
仲卸業者がマグロの競りをする際、尻尾の断面の赤身を見てマグロの良し悪しを判断することから赤が映える色、つまりその色と正反対になる色関係、”補色”を採用しているんです。
これには業者からの意見が反映されているとのこと。

 


さらに壁部分には殺風景な雰囲気を和ませるために伝統的な江戸模様が縦にデコレーションされています。
全部で4種類ありますが、春は桜、夏は波、秋は菊、冬は雪という意味が込められているんだそうです。

気配りすごいっす。

 


見学者通路には競りをする際に業者の人が指を動かす「手やり」の意味がそれぞれ説明されています。
また、通路の壁には築地市場に関する歴史のパネルなども展示されていたり。

 


こちらは鮮魚売場となり、お寿司屋さんなどに並ぶ魚を取り扱う場所です。
基本的には魚が入った発泡スチロールが並ぶイメージですね。

見てのとおり、ここには特段色は付いていません。

 


再びマグロの競り場です。
1階に下りて見渡してみると、とにかく開放感!まだ何もないってのもありますが。
こちらの暖色系の照明もマグロの赤が映える色設定になっているそうですよ。

床の勾配は1/100になっています。

 


二度と立てないこの空間。
左に見える窓は先ほどの見学者通路です。

 


至る所にあるシャッターの上部はこのような傾斜になっており、上に埃がたまらないように工夫が施されています。

 


また、柱の巾木部分は90度ではなく、斜めになっていて掃除がしやすくなるようにと、これまた細かい気配りが。
考えてますね。
床はターレット(運搬車、以下ターレ)が通っても磨耗しにくく、かつ粉塵が出にくい床材になっているとのこと。

 


ここで一旦屋外に。

こちらのバースは産地から到着したトラックが主に荷下ろしをする場所で、建物の外周部に配置することでスムーズに商品を卸売場に搬入できるようになっています。
7街区では”車両誘導システム”なるものを採用しているそうで、入場ゲートでトラックのナンバーをカメラが読み取り、トラックは電光掲示板に表示されたバースに向かうとのこと。
バースが埋まっている場合には近くの待機駐車場で空くまで待つことができるそうです。

なお、バースには2つの種類があり、1つが”プラットフォーム構造”といってトラックをバックで後ろにつけ、荷物を下ろしてフォークリフトで場内へ運ぶというもの。

 


もう一つは、こちらの”ドッグシェルター構造”といって密閉された状態で荷下ろしができるもので、冷凍マグロなどの温度管理が厳しい商品に使われます。
プラットホームの開口部と車両の隙間をしっかりと密閉し、外気や害虫の侵入をシャットアウトします。

 


さらにバースの近くにはコンセントのマークがついた設備があるのですが、これは産地から到着したトラックがバースが空くまで待機している間、荷台の冷蔵コンテナを稼働させておく必要があることから、エンジンを止めてコンテナだけを稼働させるためにアイドリングストップ用の電源を設けてco2の削減にも貢献するという画期的な仕組みが採られています。

ここまで品質管理に徹底した設備と、環境に配慮している市場が他にあるのだろうか?と素直に思いますよ。

 

それから衛生管理も徹底しているんです。
写真はありませんが、屋外から屋内に戻る際の入り口手前には洗面台とトイレが設けられています。ここまでは割と普通だと思うんです。
ただ、手を洗った後にどこかを触ると見えない細菌が付いてしまう可能性がありますよね。
ドアをタッチ式にすると手がかすかに汚れる、かといって普通の自動ドアのように人が近づくだけで毎回ドアが開いてしまうのも温度管理に困る、ということでドアの一部に手をかざすとドアが開く仕組みになっているんです。

何気ない部分ですが、日本人ならではと言いますか・・こういうのホントすごいと思いますよ。

 


さて、再び建物の中へ。
こちらは仲卸業者がマグロを解体するための共同作業場となっており、自身の店舗でマグロを解体できない業者がここでマグロをカットしていくそうです。

テレビでは何度か見たことがありますが、実物は初めてみました。

 


こちらは通り抜ける際に風が当たるのがわかるエアカーテン。
上から下へ空気が流れることにより、内側と外側の空気を遮断する仕組みになっています。
見た感じ、至るところに取り付けられています。

と、水産卸売場棟はここまで。

 

 

3. 6街区 / 7街区連結通路


続いてやってきたのは、水産卸売場棟と6街区の水産仲卸売場棟をアンダーパスで繋ぐ連絡通路です。
この上には補助315号線という道路が通っています。

 


これが2つの水産棟の間を走る補助315号線です。

 


その水産仲卸売場棟に向かう連絡通路ですが、きちんとターレの走行レーンも設けられているんです。
移転反対派からは”この通路が狭い”、という意見も出ていますが、この通路が全部で4本(他に3本)、計45レーンあるという話を聞く限り、狭いとは思えません。

 

 

4. 6街区 水産仲卸売場棟


画像参照:東京都中央卸売市場

続いて、6街区の水産仲卸売場棟へ。
こちらは仲卸業者が街の魚屋や飲食店に対して、商品を販売するエリアです。

 


基本的に店舗間は間仕切りで区切られており、1店舗の面積は8.3㎡。これが全部で1600弱もあるそう!
水産卸売場棟の10.5度という温度設定に対し、水産仲卸売場棟は25度程度の設定だそうです。

過去に”狭くてマグロが切れない”という報道がありましたが、食品衛生法上、店舗間は間仕切りで区画しなければならないとのですが、万が一食中毒が起きた際には隣り合う店舗で共同責任を取る、という条件をのんだ店舗には間仕切りを取っ払ってもOKという許可が下りたそうです。
ちなみにマグロの業者は約60業者で上記の例外措置を取る業者は約30業者、残り半分の業者は、先ほどのマグロの共同加工場でカットしてこちらで販売するとのこと。

 


仲卸店舗がひしめき合うエリアは歩車分離といい、段差で歩行者とターレの動線を分けています。

 


そして、ターレも使える巨大な荷物用エレベーターへ。
その積載量はなんと6,600kg!
さらにエレベーター内には排水溝が設けられており、1階に着く度に排水される仕組みになっているそうですよ。
つくづくすごい・・

 

※この後、屋上緑化広場へ行きましたが、ロケーションが素晴らしすぎて・・それはまた別途アップしたいと思います。

 

 


続いて、こちらは”ターレスロープ”というターレ専用のスロープ。
上りが2車線、下りが1車線になっているんです。
理由は、荷物を積んで上ると荷物の積載量でスピードがどうしても変わってしまうので、追い越し車線を設けているとのこと。

 


そして、報道でも見たことがある”ターレが曲がれないのではないか”というどうでもいい議論になった現場がこちら。

実際にこれを見て本当に曲がれないと思うなら、どれほどのスピードを出して曲がる想定をしているのか疑問です。
元々車両の軌跡を踏まえた設計をしており、事業者協力の下で実際に曲がれるか実証実験もきちんと行ったとの説明がありました。

これ以外にも”床が抜ける”、”柱が曲がっているのでは”など、メディアは連日のようにガセネタを視聴率稼ぎのために世間の不安を煽りつつ報道していたのですが、こういう問題こそよっぽどBPOがきつく取り締まるべきだと思いますね。

このあたりの詳しい経緯は山本一郎さんの記事に書かれています。

 

5. 5街区 青果棟


画像参照:東京都中央卸売市場

さて、最後となる5街区 青果棟です。

 


こちらの青果棟は野菜、果物などの青果物の取引を行うエリアですね。

 


青果棟は卸売りから仲卸まで、一つの建物内で完結する仕組みになっているところが、水産とは異なるポイント。
こちらも開業後に見学できるエリアは黄色の部分となります。

建物は3階建てで用途は以下のとおりです。

1階:卸売場と仲卸場。
2階:卸売業者の事務所エリアと見学通路。
3階:商品の加工や、包装などのスーパー、小売り業者向けの多様なニーズに対応していくための加工パッケージ施設。

 


こちらは見学者通路から見える仲卸売場です。
見学者通路には水産卸売場棟と同様に市場にまつわる展示パネルが壁面に展示してあったりします。

 


こちらは見学デッキから見下ろす競りをはじめとした青果取引が行われる卸売場。
この広さとなんといっても清潔感!

 


そして1階へ。

こちらに商品が搬入され置かれていくのですが、柱の上の方にスピーカーのようなものが取り付けられているのがわかりますかね?
これは冷たい空気の吹き出し口になっていて、床面近くに荷物がある部分を重点的に冷却するための空調だそうです。
ただ、ほうれん草などの葉物野菜は強い風が当たるとよろしくないため、緩やかに風が吹き出す仕組みになっているとのこと。

野菜にも優しすぎる施設・・・
この売場は22度程度で温度管理されるとのこと。

 

 
こちらの施設は仲卸業者や八百屋などの商品の買い出し人に商品のPRを行うための施設。
生産者の方がその産地で採れた野菜や果物などの調理の仕方や食べ方を教えながらお客さんに試食をしてもらう場所になるとのこと。

なお、この施設は卸売業者らが自身の資金で整備した建物だそうです。

 


それからこちらは”立体定温倉庫”という倉庫になっていて、板状のパレットが一度に1000枚分も保管できるという倉庫。

こちらも卸売業者らが自身の資金で整備した倉庫とのことです。

 


外に出て、こちらは青果棟のバースとなっており、産地から荷物を運んだトラックが荷物を下ろします。
水産卸売場棟ではバースが高床になっていましたが、青果では取り扱う商品が土物、葉物ということで水産とは求められる衛生レベルがまったく違うため、青果では平床式となっているんですね。

 


青果棟の外観です。
奥に見えるSKYZ TOWER & GARDENと同様、快晴の青空に映えすぎるカラーリングです。

 

 

6. 地下水管理システム


見学の途中でDVDにて”地下水管理システム”というこの場所ならでは仕組みの説明がありました。

地下水管理システムとは豊洲市場において、一定の水位を保つ装置であり、くみ上げた地下水の水質を監視し、基準値を超えた有害物質が検出された場合には、浄化処理をして下水道に放流するように作られた施設です。
上の写真は豊洲市場の地盤を切り取ったイメージ図ですが、豊洲市場用地は、元々東京ガスが都市ガスを作る工場などがあった土地で、都市ガスを生成する過程では有害な物質が発生するため、土壌や地下水に汚染物質が蓄積されている恐れがあるとして、法に定められた措置が必要になります。
このため豊洲市場用地の周囲は、鉄の杭を地中深くまで打ち込み、杭の周りの土をセメントで固めることで水を通さない壁を作り、市場用地の地下に汚染物質があっても用地の外側に流れ出ることがないようにするためにこういったシステムが設けられています。

なお、地下水位の測定結果についてはこちらで公表されています。

 


地下水管理システムの排水施設棟は地中に設けられており、地下に下りて見学することができました。

 

・見学を終えて


もうここからは個人の意見ですが、せっかくこのような素晴らしい市場なのに使われていないのが本当にもったいないと改めて思った次第です。
少なくとも自分には世界的に見ても最先端をいく市場ではないかと映りました。
大袈裟でもなく日本の技術が結集している施設ですよ、これは。

昨年、盛土問題を発端に「豊洲市場=欠陥」というレッテルが世間的に貼られてしまいましたが、結局そこの判断って人から聞いた意見で判断するのか、実際に現地を見て事実に基づいて判断するのか、だと思うんです。
移転反対派の中にはどんなに小さなことでもケチをつける人も出てくるとは思いますが。

江東区との政治的な問題など、移転への課題は山積みですが、なんとか小池都知事にやってもらうしかないですね。
一日も早い開業と同時に市場に隣接する豊洲ぐるり公園の全面開放を願ってやみません。

 

 

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